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静岡市葵区御幸町にある、文化施設のサールナートホールです。 三階には、静岡シネ・ギャラリーも併設しています。 いろいろな催し物、映画を上映しています。

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文豪トルストイの大作を本家ロシアが映画化!『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』

ロシアの文豪トルストイの「アンナ・カレーニナ」はこれまで幾度も映画化されてきましたが、こちらは2017年作の本家ロシア映画。
アンナ・カレーニナは政府要人の妻として何不自由ない生活を送っていましたが、そこに若い貴族のヴロンスキーが現れ、不倫状態に。夫は世間体を恐れ、なかなか離婚に同意せず、板挟みとなったアンナは次第に破滅的状況に追い込まれていきます。
本作はその30年後、ヴロンスキーが日露戦争時の満州でアンナの一人息子のセルゲイと再会し、アンナとの逢瀬を回想する、という構成となっています。

annna
(C) Mosfilm Cinema Concern, 2017


原作と同じくアンナの陥る避けることのできない人間の業を物語の主軸に据えながら、本作では浮気相手のヴロンスキーの視点から描くことで、アンナという主人公と対をなす男の運命がクローズアップされていきます。
物語は満州の野戦病院での様子、迫りくる日本軍の脅威を描写しながら、30年の歳月を経てもなおアンナの呪縛から逃れることのできない姿を描き、この文芸大作をより立体的に俯瞰することができるようになっています。
回想時のヴロンスキーは直情型の若者のそれですが、歳月を経た姿は人生の悲哀を感じさせる壮年期の容貌で描かれており、こちらは大変に魅力的です。
満州のエキゾチックな風景が彼の心象風景のようでもあり、最後に彼が下すある決断によって原作のテーマがより強調される締め括りとなっています。

文豪トルストイの大作を本家ロシアが映画化!『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』
(C) Mosfilm Cinema Concern, 2017

監督は「ホワイトタイガー」などの戦争映画を多く手掛け、日露戦争の緊張感あるリアルな描写、競馬や馬車が疾走する躍動感のある場面など静と動のコントラストを自在に描き分け、その手腕を見ることができます。
また過去の場面も舞踏会や邸宅内での豪華な内装など、重厚な物語にふさわしい映像は特筆に値します。
次回上映の「マチルダ 禁断の恋」でも映像の豪華さは際立っており、最近のロシア映画からは目が離せません。時代背景も同じ革命前の帝政ロシアの時代、その作風の比較も興味を持ってご覧いただけることと思います。


『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』
12/8(土)~12/21(金)連日①13:10 ②17:15
公式HP http://anna2017.com/




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Posted by サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー at 16:32

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