作家のアンドリュー・ソロモンが「普通と違う」子供を持つ親子にインタビューしたものをまとめた著作を元にしたドキュメンタリー。
原作はゲイであることを両親にカミングアウトしたことで起きた波紋をみて、他の家族ではどうなのだろう?と思ったことで書かれた本とのこと。邦訳本は2019年に出版予定とのこと。
原題の「Far From the Tree」は”The apple doesn’t fall far from the tree.”(リンゴは樹から遠いところには落ちない)ということわざから採られたものだとか。
この意味合いとしては「カエルの子はカエル」に近いニュアンスといえるでしょうか。
原作は300組以上の親子を取材したとのことですが、この映画では6組の親子が登場します。
ダウン症や自閉症、低身長症、LGBT、なかにはあっと驚くような境遇の親子など、確かにそこに登場する親子は「普通」とは違う生活を送っています。
それぞれにとってはみな予期せずに訪れた変化であり、普通の意味ではハンディでもあります。
ところが、それぞれの家族は当初は戸惑いや悲嘆に暮れながらも、その事態を受け止め、それを受け入れて日常を送っています。
映画から伝わってくるのは「普通」ってなんだ?という素朴な疑問です。
登場する親子は程度の差こそあれ、それぞれの生活の中に幸せを見出し、普通と違う部分から得られる体験を一つの糧としているようにも見えます。
翻ってみれば、ハンディなどなくても幸せに暮らしているとはいえない人もいるなかで、ハンディの有無など人生の構成要素のひとつにすぎないのだ、と気が付きました。
これは幸せの形はそれぞれに違う、という、言われてみれば当たり前のことであり、そこから見えてくるのは家族の幸せの根源はどこにあるのか?という問題提起でもあります。
さまざまな親子の形、幸せの形があるなかで、もはや「普通」との境界線は存在していない、と考えるべきでしょう。
登場する家族の言葉に耳を傾けていると、やはり体験したものの大きさの違いは言葉の重みに表れるのだなと思うのと同時に、その前向きな考え方に大変大きく心を動かされました。
この映画は幸せの形がそれぞれに異なるように、「普通」ということの意味も、幸せの内容も、その違いを認め合い、尊重することの大切さを教えてくれているのだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=1EbC8AykuCI
『いろとりどりの親子』
現在公開中~2019/1/4まで上映
連日
①9:50~11:25
(※2019/1/1のみ、①9:50~の回休映)
②14:40~16:15
あらすじ
ノンフィクション作家のアンドリュー・ソロモンは、10年の歳月を費やしておよそ300組の親子に取材を試みる。
親とも周囲の子供たちとも異なる性質を持った子供と、その両親へのインタビューをまとめた本は世界24か国で翻訳される。
その著書に基づいて、レイチェル・ドレッツィン監督が6組の親子の日常を映し出す。
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