eしずおかイベント情報

静岡市葵区御幸町にある、文化施設のサールナートホールです。 三階には、静岡シネ・ギャラリーも併設しています。 いろいろな催し物、映画を上映しています。

映画上映情報 ラウペ

『誰がために憲法はある』原爆朗読劇を続ける女優陣が語る戦後と未来へ託す思いとは――

冒頭、テレビにあまり出ない(=出して貰えない)というピン芸人・松元ヒロの十八番、「憲法くん」を渡辺美佐子が演じています。
このインパクトは凄いのですが、それは後述するとして、映画はそれに続いて渡辺をはじめとする女優陣が33年間続けてきたという原爆についての朗読劇の様子を映し出します。
この朗読劇「夏の雲は忘れない」はヒロシマ・ナガサキで被爆した子供や大人の手記を元にしたもので、普通の暮しが一瞬で奪われ、筆舌に尽くし難い惨禍に見舞われた人々の苦悩をテーマとしています。
渡辺にとってこの朗読劇は小学生のときに出会った少年の運命と結びつき、特別の想いで演じ続けてきたことが描かれ、それは他の女優にとっても同様であったことが分かります。
『誰がために憲法はある』原爆朗読劇を続ける女優陣が語る戦後と未来へ託す思いとは――

日本国憲法はこうした戦争の惨禍の果てに、新しい時代を拓こうとする民主国家として再生する日本の理想を具現化するために成立したものであったことが改めて想い起こされるのです。

渡辺演じる「憲法くん」が朗読するのは日本国憲法の前文で、その内容を改めて朗読という形で聴くと、その崇高な理想主義、民主国家としての国の目指すべき指針が非常に明確に、揺るぎない決意とともに語られていることを改めて認識するのです。
近年特に騒がしくなってきた改憲論議については一切踏み込まず、前文の朗読のみで映画を締め括る監督の意図するところは、おそらくは、この前文の全てを改めて読んで貰ってアメリカに押し付けられただの、現状に合わないだのという、成立過程や現下の世界情勢といったことを論議する前に、この前文に書かれた趣旨を、その理想とするところを改めて確認し、そのうえで改憲の是非についての出発点として貰いたい、との考えがあってのことなのだと理解しました。
この、世界に臆面なく真正面から平和主義と理想的民主国家のありようを提示した前文の前に立つとき、現憲法のどこを変えて、どこを変えてはいけないのか?が、圧倒的な熱量をもって体の内側から沸き立つのを感じたのでした。
『誰がために憲法はある』原爆朗読劇を続ける女優陣が語る戦後と未来へ託す思いとは――

タイトルからイメージする内容とはちょっと違うかもしれませんが、やはりこの前文の持つインパクトを再認識するためのトリガーとして、この作品の持つ意味は非常に大きなものがあると思います。

ヒロシマ・ナガサキ、そして終戦の8月にぜひご覧いただき、この問題を考えるきっかけとして頂ければと思います。



同じカテゴリー(映画上映情報)の記事画像
この運命から、目を逸らさない――。 『ドライブ・マイ・カー』
自分で選ぶ未来のために 『17歳の瞳に映る世界』
それでも、生きていく。 『トゥルーノース』
謎が、満ちてゆく 『ライトハウス』
香港に自由を 『デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング』
その嘘は本当ですか? 『猿楽町で会いましょう』
同じカテゴリー(映画上映情報)の記事
 この運命から、目を逸らさない――。 『ドライブ・マイ・カー』 (2021-08-23 15:44)
 緊急事態宣言下での営業について (2021-08-19 10:47)
 自分で選ぶ未来のために 『17歳の瞳に映る世界』 (2021-08-15 12:28)
 それでも、生きていく。 『トゥルーノース』 (2021-08-13 10:36)
 謎が、満ちてゆく 『ライトハウス』 (2021-08-07 15:38)
 【重要】2021/8/14(日)『映画:フィッシュマンズ』18:30の回、上映時間変更のお知らせ (2021-08-07 15:24)

Posted by サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー at 16:51

コンテンツ

アクセスカウンタ

基本情報

プロフィール
サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー
サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー
静岡市葵区御幸町のサールナートホールです。定期的に演奏会、講座などのイベントを開催しています。3階は、映画館『静岡シネ・ギャラリー』。ご来館を心よりお待ちしております。

お問い合わせ先

(劇場直通)

054-250-0283

〒420-0857
静岡県静岡市葵区御幸町11-14

ここでも情報発信中!

記事

過去記事
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 39人
QRコード
QRCODE
削除
『誰がために憲法はある』原爆朗読劇を続ける女優陣が語る戦後と未来へ託す思いとは――