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静岡市葵区御幸町にある、文化施設のサールナートホールです。 三階には、静岡シネ・ギャラリーも併設しています。 いろいろな催し物、映画を上映しています。

みのり

活動弁士とキネマの世界(2) 「寄らば斬るゾ!特選時代劇」

こんにちは、みのりですface01
前回のブログでは、6月24日(日)に開催される活弁つき無声映画の上映イベント『活動弁士とキネマの世界』の概要をご紹介しました。

このイベント、午前10:30から「寄らば斬るゾ!特選時代劇」、午後13:30から「世界三大喜劇王!!」と、二つのプログラムがあります。
そこで今回のブログでは、「寄らば斬るゾ!特選時代劇」で上映される三作品をご紹介します。

まずは『血煙高田馬場』

活動弁士とキネマの世界(2) 「寄らば斬るゾ!特選時代劇」

喧嘩の仲裁をしてはその仲裁料で酒を飲む、という頼もしいような困ったような、それでも町の人気者の中山安兵衛(後の赤穂浪士最強の剣客・堀部武庸)。
いつものように酔って帰ると、伯父が果し合いをするとの危急の知らせ。
多勢に無勢の伯父を助勢するため、安兵衛が走りに走るemoji01斬りに斬るemoji01
という、史実を基にした剣戟(チャンバラ)作品です。

活動弁士とキネマの世界(2) 「寄らば斬るゾ!特選時代劇」

実はこの作品、フィルムの大部分が既に失われており、現在残っているのは全体の十分の一程度、わずか六分だけです。
にも関わらず、この作品が活弁作品として上映されるのは、
現存する部分がストーリー全体の中で最も重要、かつ優れた場面だからです。
余分な要素がないので、スピード感が増し、スリリングな展開になっている気さえします。

とはいえ、活動弁士としては「失われたシーンを説明で補う」「スピード感を殺さない」という相反する問題があるでしょうから、出演弁士・坂本頼光さんがどんな語りをするのかも聞きどころですね!



二作品目はご存知『旗本退屈男』。

活動弁士とキネマの世界(2) 「寄らば斬るゾ!特選時代劇」

『退屈男』シリーズは、全部で30本もつくられましたが、これは記念すべき第一作目。
30本というのは現在の感覚からすると粗製乱造のようにも思えますが、テレビがない時代のこと、人々は5年に一度の超大作より、半年に一度人気キャラクターに再会できることを求めました。

そして、退屈男こと早乙女主水之介は、まさにトップクラスの人気者icon12

活動弁士とキネマの世界(2) 「寄らば斬るゾ!特選時代劇」

演じた市川右太衛門も生前「百歳まで退屈男を演りたい」と言っていたそうです。
観客からも演者からも愛されたキャラクターだったのですね(右太衛門は願いかなわず92歳で亡くなりましたが、息子である北大路欣也が、TV版で退屈男を演じました)。

週末になるたび新作の活動写真を楽しんでいた1930年の観客になったつもりで、退屈男の魅力に酔いしれてください!



三本目は阪東妻三郎主演『雄呂血』
「日本映画史上最高の剣戟映画」と評される傑作です。

上記二作品からさらに時代をさかのぼり、1925年、大正時代の作品です。
チャンバラ映画の黎明期には「映画の演技」がまだ確立していませんでした。
そのため、最初のスター尾上松之助の立ち廻りは、歌舞伎の技法をベースにした「見得を切ったら敵がバタバタ倒れる」というものface07

これを一変させ、リアルに斬り合う剣戟を取り入れたのが阪東妻三郎。
誰も観たことのない立ち廻りで『雄呂血』は大ヒットしました。

活動弁士とキネマの世界(2) 「寄らば斬るゾ!特選時代劇」


大ヒットのもう一つの理由はストーリー。
チャンバラ映画とはいえ、『雄呂血』は「無敵のヒーローが悪漢退治をする」という単純な筋書きではありません。

主人公の平三郎は、悪を志しているわけではないのに、誤解で愛する人から疎まれ、牢に入れられ、アウトサイダーとして生きることを余儀なくされます。
旅先で彼を救うのは義侠の剣客・治良三。ですが、親分と敬愛される治良三の実態は、裏で奸悪を謀らむ悪人だったのです。
本当は善人であるのに世に理解されない平三郎と、悪人なのにもてはやされる治良三。
そしてついに、二人が剣を交える時がきます…。

活動弁士とキネマの世界(2) 「寄らば斬るゾ!特選時代劇」

この作品が公開されたのは大正デモクラシー華やかなりしころ。
『雄呂血』の反社会的ともいえるテーマは、そんな時代に合致したのでしょう。
そして、21世紀においても充分に今日性をもった物語であるはずです。
主人公・平三郎の心情を、活動弁士・坂本頼光さんはどのように表現するのか。注目です!


以上三作品、6月24日(日)10:30から上映Aプログラム≪寄らば斬るゾ!特選時代劇≫のご紹介でした。
どうぞお楽しみにemoji02

活動弁士とキネマの世界(2) 「寄らば斬るゾ!特選時代劇」




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Posted by サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー at 11:00

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