こんにちは!のむげです!(^o^)丿
最近春麗とは言い難く、そろそろ軽く夏日になりそうな気配がして参りましたね。。
外に出ると暑いーという日が増えてまいりますので、そんな時は是非映画を!ということで、久しぶりにおススメ映画をご紹介しようと思います!
今日ご紹介するのは、5/3(土)~5/16(金)上映の、
『ある過去の行方』という作品です!
こちらシネ・ギャラリーでも多くのお客様がいらっしゃってくださった
『別離』の監督、アスガー・ファルハディ監督作品です。
『別離』をご覧になったお客様ならご存知かと思いますが、この監督は人の心理描写に長けた、非常に綿密な脚本を書きますよね。
個人的にラブストーリーよりもサスペンスやミステリーが好きなのと、ファルハディ監督が好きなので、『ある過去の行方』も決まったあたりからすごくわくわくしていました。
今回の『ある過去の行方』も、前作『別離』同様に、脚本が非常に作りこまれています。観終わった後に、うーん上手い!と唸ってしまいました
あらすじは、4年前に別れた妻マリー(ベレニス・ベジョ)と離婚手続きを行うため、イランから彼女のいるパリへと飛んだアーマド(アリ・モサファ)。かつて妻子と日々を過ごした家を訪れると、マリーと長女のリュシー(ポリーヌ・ビュルレ)が子連れの男サミール(タハール・ラヒム)と一緒に暮らしていた。マリーとサミールが再婚する予定だと聞かされるものの、彼らの間に漂う異様な空気を感じ取るアーマド。そんな中、マリーと確執のあるリュシーから衝撃の告白をされる。
という感じです。
よく小説では「神の視点から」物語を描く、三人称というものを目にしますが、この映画もまさに誰もが主人公であって、誰もが主人公でない……そんな感じです。
もちろん物語の核は、妻マリー=アンヌと、元夫アーマドで進みますが、その二人に絡んでくるマリー=アンヌの今の恋人サミール、マリー=アンヌの長女リュシーの物語も同時進行。全部物語に関わってきて大事です。
基本的に『ある過去の行方』というタイトル通り、すでに起こってしまった過去の出来事に対して、皆が皆それぞれの立場から自分の主張をしていくことになり、もちろんそこには意見の食い違い、思い違い、勘違いも絡まっていきます。
それが上手いことラストに向かって収束していくものだから、これもまた見事なんです。(ラストに向かうまでの過程に唸ります。。)
誰に感情移入するか、はたまたラストまで傍観者であり続けるか、が観客に委ねられることによって、この映画に抱く感情は様々変わってくるように思います。
そんな人間の内面に深く潜り込むような作品ですから、セリフも場面も全てが伏線みたいなものなので、サスペンスやミステリーにも似たハラハラや謎解きを味わうこともできますし、ラブストーリーや、人間ドラマでもあるので、一粒で二度おいしいみたいな映画です。
そして、この作品で、2013年カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞した、ベレニス・ベジョさんにも是非ご注目を!
この方『アーティスト』に出演していた、スターダムを駆け上がっていく新人女優を演じていた方なんです。少し前に上映した『タイピスト!』でも出演されていましたね。
今回は少しヒステリックで、常に疑惑や疑念を抱えている難しい役柄で、『アーティスト』とは全然違う役柄を演じきっています。さすがカンヌの主演女優賞を受賞しただけのことはあると思わせるような、圧巻の演技も見逃せません。
自分の気持ちを隠したり、嘘を吐いて誤魔化したりして、真実は一つだとしても、そこに至るまでの過程を、愛であったり、自分の事情で隠してしまう・・・…一辺倒ではいかない、人間の曖昧模糊とした闇の深さというものを考えさせてくれる作品だと思います。
様々な登場人物が自分の主観的な意見を述べて物語が進むという手法の作品は、顕著なもので芥川龍之介さんの小説「藪の中」(映画では『羅生門』ですね)や、近年では湊かなえさんの小説「告白」などでも見受けられたと思います。(映画ではちょっと違うかもですが。。)
この『ある過去の行方』も、人間の内面に深く切り込むようなディープな映画体験ができますので、皆様にご覧いただきたいお勧めの作品です。
カンヌ国際映画祭を賑わせた話題作、是非ご覧ください!
『ある過去の行方』は、5/3(土)~5/16(金)
①10:00~12:15
②14:35~16:50
となっております。
ちょうどゴールデンウィークですし、ちょっと時間が空いたら宜しくお願いします!
皆様のお越しをお待ちしております!