eしずおかイベント情報

静岡市葵区御幸町にある、文化施設のサールナートホールです。 三階には、静岡シネ・ギャラリーも併設しています。 いろいろな催し物、映画を上映しています。

ラウペ

天才アーティストの秘密に迫るドキュメンタリー『バスキア、10代最後のとき』

グラフィティ・アート(ストリート・アート)の草分け、ジャン=ミシェル・バスキアの活動の初期に焦点を当てたドキュメンタリー。

映画はニューヨークにとって暗黒の1970年台末、フォード大統領がニューヨークへの財政支援策にサインしないつもりであるとの声明が流れるところから始まります。
白人富裕層が郊外に移転し街は空洞化、その結果治安が悪化する悪循環が続き、将来への希望を無くした若者はドラッグとパンクに象徴されるアナーキーな文化への傾斜を始めたと指摘。
これがグラフィティの誕生の土壌となったとのこと。
本作はバスキアと親交のあった監督のサラ・ドライバーとそのパートナーのジム・ジャームッシュなど当時のバスキアを知るさまざまな人々のインタビューを通し、無名の若者がいかにしてニューヨークの街角から自分のスタイルを形作っていったのか、その背景を解き明かしていきます。

バスキア1
(C)2017 Hells Kitten Productions, LLC. All rights reserved.
LICENSED by The Match Factory 2018 ALL RIGHTS RESERVED
Licensed to TAMT Co., Ltd. for Japan
Photo by Bobby Grossman

活動をはじめた頃のバスキアは自身のグラフィティに「SAMO」のタグを付けることで自身のアイデンティティを確立。グラフィティのほかさまざまなガラクタや「MAN MADE」のタグと共に服に色を塗るアート作品なども作っていましたが、当初は非常にシンプルだったものが、徐々に複雑に、抽象とも具象とも異なる複雑で多様なものが同居する後年のスタイルに徐々に変遷していく様子を映しだしていきます。

当時を知る人の回想は30年という歳月を経ても非常に具体的で、契機となるエピソードを丁寧に拾い出していくことで、大変分かりやすい形でその変遷をたどることができます。
それはバスキア本人と交流を持ち、同じ空気を感じながら同時代を過ごしたサラ・ドライバーだからこそ成し得た充実ぶりだと思います。
人の縁やさまざまな偶然、時代の流れの変化などの要因が微妙なバランスで作用して、雑然としたニューヨークのカオスの中からバスキアは表舞台に「打ち上げられた」との話とともに、時代の寵児となることはやはり必然だったのだ、との思いを強く持ちました。
折しもバンクシーの作品らしきものが東京で見つかり話題になっていますが、その原点であるバスキアが没後30年を経てもなお、その輝きを失わない理由を知るには格好のドキュメンタリーだと思います。

バスキア2

グラフィティをはじめとするポップアートやヒップホップやパンクミュージックなどの音楽、ファッションなど、ポップカルチャー全般に興味のある方はぜひご覧いただきたいと思います。

『バスキア、10代最後のとき』
1/19(土)~2/1(金)連日①9:50 ②13:40
作品HP http://www.cetera.co.jp/basquiat/





タグ :バスキア

同じカテゴリー(ラウペ)の記事画像
この運命から、目を逸らさない――。 『ドライブ・マイ・カー』
自分で選ぶ未来のために 『17歳の瞳に映る世界』
それでも、生きていく。 『トゥルーノース』
謎が、満ちてゆく 『ライトハウス』
香港に自由を 『デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング』
その嘘は本当ですか? 『猿楽町で会いましょう』
同じカテゴリー(ラウペ)の記事
 この運命から、目を逸らさない――。 『ドライブ・マイ・カー』 (2021-08-23 15:44)
 自分で選ぶ未来のために 『17歳の瞳に映る世界』 (2021-08-15 12:28)
 それでも、生きていく。 『トゥルーノース』 (2021-08-13 10:36)
 謎が、満ちてゆく 『ライトハウス』 (2021-08-07 15:38)
 香港に自由を 『デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング』 (2021-07-26 12:41)
 その嘘は本当ですか? 『猿楽町で会いましょう』 (2021-07-12 11:44)

Posted by サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー at 17:33

コンテンツ

アクセスカウンタ

基本情報

プロフィール
サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー
サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー
静岡市葵区御幸町のサールナートホールです。定期的に演奏会、講座などのイベントを開催しています。3階は、映画館『静岡シネ・ギャラリー』。ご来館を心よりお待ちしております。

お問い合わせ先

(劇場直通)

054-250-0283

〒420-0857
静岡県静岡市葵区御幸町11-14

ここでも情報発信中!

記事

過去記事
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 39人
QRコード
QRCODE
削除
天才アーティストの秘密に迫るドキュメンタリー『バスキア、10代最後のとき』