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史上二人目の女性最高裁判事のドキュメンタリー! 『RBG 最強の85才』

女性人権活動家であり、史上二人目の最高裁判事として現役のルース・ベイダー・ギンズバーグ(RBG)のドキュメンタリー。

『ビリーブ 未来への大逆転』で描かれた若い頃から、最高裁判事となり、絶大な人気を獲得した現在に至るまでを本人のインタビューやニュース映像などで構成していますが、そこから滲み出るのは飾らない人柄と法の下の平等に対する揺るぎない信念。
ハーバードのロウ・スクール在学時から体験したさまざまな女性に対する差別は、法律家としての立場から、憲法に保障されているはずの平等の理念に法律そのものが違反している(というより、性差別が法律に内包されてしまっている)ことに気が付きます。
そこで女性人権活動家としての仕事に傾斜していくことになるのですが、それを支えたのが夫のマーティン。
自身も税務関係の弁護士として活動しながら、妻の仕事を理解し、食事の用意など積極的に家事に参加、このあたりは『ビリーブ 未来への大逆転』でも描かれていますが、本人や子供のインタビューや残された映像などから、本当に良き夫、良き理解者であったことが窺われます。
夫の支えなくして現在の彼女の業績はなかったのでは、と感じました。

史上二人目の女性最高裁判事のドキュメンタリー! 『RBG 最強の85才』


本作ではクリントン大統領による最高裁の判事の指名を受けての公聴会での発言、就任後の判決や反対意見の陳述などの音声など、RBG本人の発言が数多く引用されていますが、その論旨は簡潔で分かりやすく、非常に説得力のあるもので、映画を観ながら大きく頷くところばかりです。
性差別が単なる男女の役割や身体的相違と考えられてきた旧来の価値観がいかに女性に進出の機会を制限してきたか、それが不当な差別となっているかを分からせるために「幼稚園の先生になったつもりで説明した」と語るところでは、現代でもなおときどき発生する不見識な失言や呆れるような旧態依然とした差別の根源にある、固定化され、なかなか更新されない男女の違いの漠然としたイメージの危険性について、認識を新たにするものです。

また、その忍耐強く、自制的な言動は母の「Be a lady. Be independent. (常に淑女であれ。自立すべし。)」との教えに基づく、といったところなど、彼女のパーソナリティがどのように形成されていったのかを窺い知ることができます。

近年「Notorious(ノートリアス=悪名高い) RBG」と呼ばれてその人となりと業績が俄かにクローズアップされてきたのも、共和党大統領による保守派判事の指名が続くことでリベラル派判事が数の上で劣勢を強いられる状況や、人工中絶に対する保守派の逆風といった一種の揺り戻しが起きつつある世情を反映しているともいえるのかもしれません。
85歳を過ぎてなお現役を続ける彼女の“最後の闘い”が、今後ますます重要になってくるのは間違いないと、映画を観てその思いを強くしたのでした。




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Posted by サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー at 16:46

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