eしずおかイベント情報

静岡市葵区御幸町にある、文化施設のサールナートホールです。 三階には、静岡シネ・ギャラリーも併設しています。 いろいろな催し物、映画を上映しています。

映画上映情報 なべ

この世界が、気になった 『はちどり』

ベルリン国際映画祭をはじめ世界の映画祭で50冠以上受賞した本作、やっと皆様に見ていただけます。今年はじめの『パラサイト』以降、センセーショナルな韓国作品をいくつか上映してきました。対してこの『はちどり』と当館で10月公開予定の『82年生まれ、キム・ジヨン』は特別ではない一人の女性の物語でありながら、見る人の心にすっとしみこんで様々な感情をおこさせる作品だと思います。

この世界が、気になった 『はちどり』

主人公ウニはソウルの団地に家族と住む中学2年生。両親、特に父は兄にだけ期待を寄せ、姉とウニは学業もそこそこに働き手として厳しくしつけられている。女子中学校ではなじめずに孤立気味、放課後は慕ってくる後輩と遊んだり、他校のボーイフレンドと会ったり、不良を気取って行動したりしている。ある日、ウニの通う漢文塾にヨンジという女性教師がやってきたことでウニの気持ちが少しずつ変化して行く。1994年のある朝、姉が通学に使うバスが通るソンス大橋が崩落したというニュースを学校で知ったウニは慌てて自宅に電話するのだった。

この世界が、気になった 『はちどり』

思春期の女の子なら誰でも持つような小さな悩み、孤独感、境遇への不満、将来への不安、それに加え、中学生がポケベルを操る時代なのに「女には学はいらない」「女のくせに」という考えが隠されもせずにあるのは窮屈で息苦しい。韓国の同じ時代を描いている『82年生まれ、キム・ジヨン』の少女時代でも同じような状況が描かれているところを見ると、そんな風に感じてもがいていた少女は少なくなかったのでしょう。多感な少女ウニが自身の体の異変やヨンジ先生との出会い、実際に起きたソンス大橋崩落(橋の中央部が50メートルに渡って崩落し32人もの死者が出た事故)を経て、先の見えない不安とどう向き合って行くのかを丁寧に描いています。
タイトル(原題も韓国語ではちどり)のはちどりは、最大1秒間に80回も羽ばたきし、ぶーんという羽音から蜂の名を持ち、蜜を吸う小さな鳥。希望、愛、生命力の象徴で、この姿はウニに似ているとキム・ボラ監督は言います。韓国の少女の生きる姿は、私たちの昔の思い出でもあり、子供世代の現実であり、これからも形を変えて残るみんなの物語、だからウニが少しでも自由に生きていけるよう応援したくなりました。
実は私も一度だけ「女のくせに」的なことを面と向かって言われた経験があります。就職活動中の役員面接での事で、20年以上経った今でも忘れないなんて変ですけど、本当に悔しかったんです、○○会社の役員さん、あなたですよ!! それは置いておいて…。

決して派手ではない一本の映画がたくさんの観客に支持されて世界に広まった理由をご自身で確かめにシネギャラリーに来ていただけたらと思います。そして『はちどり』が心に沁みた方には10月にまたある少女が大人になったときの物語を観に来てください。


『はちどり』
2020/9/4(金)~9/17(木)迄
2020/9/4(金)~9/10(木)
①14:25~16:45
②19:15~21:35

2020/9/11(金)~9/17(木)
時間未定
決まり次第掲載いたします

公式HP→https://animoproduce.co.jp/hachidori/


同じカテゴリー(映画上映情報)の記事画像
この運命から、目を逸らさない――。 『ドライブ・マイ・カー』
自分で選ぶ未来のために 『17歳の瞳に映る世界』
それでも、生きていく。 『トゥルーノース』
謎が、満ちてゆく 『ライトハウス』
香港に自由を 『デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング』
その嘘は本当ですか? 『猿楽町で会いましょう』
同じカテゴリー(映画上映情報)の記事
 この運命から、目を逸らさない――。 『ドライブ・マイ・カー』 (2021-08-23 15:44)
 緊急事態宣言下での営業について (2021-08-19 10:47)
 自分で選ぶ未来のために 『17歳の瞳に映る世界』 (2021-08-15 12:28)
 それでも、生きていく。 『トゥルーノース』 (2021-08-13 10:36)
 謎が、満ちてゆく 『ライトハウス』 (2021-08-07 15:38)
 【重要】2021/8/14(日)『映画:フィッシュマンズ』18:30の回、上映時間変更のお知らせ (2021-08-07 15:24)

Posted by サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー at 10:11

コンテンツ

アクセスカウンタ

基本情報

プロフィール
サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー
サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー
静岡市葵区御幸町のサールナートホールです。定期的に演奏会、講座などのイベントを開催しています。3階は、映画館『静岡シネ・ギャラリー』。ご来館を心よりお待ちしております。

お問い合わせ先

(劇場直通)

054-250-0283

〒420-0857
静岡県静岡市葵区御幸町11-14

ここでも情報発信中!

記事

過去記事
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 39人
QRコード
QRCODE
削除
この世界が、気になった 『はちどり』