2020年09月22日
| 映画上映情報| ラウペ
2016年、富山のローカル局チューリップテレビが富山市議会議員の政務活動費の不正受給をスクープしたことをきっかけに14人に及ぶ辞職者を出した事件の顛末を描くドキュメンタリー。
きっかけは自民党会派による議員報酬の値上げ条例の提出。
市議会は報酬審議会の答申を理由に値上げ条例を可決したが、委員の多くが自民党系の団体の推薦であったこと、審議時間6時間という短時間での答申であったことなどから、はじめに値上げありきとの批判を受ける。
市長は市議会のことに市長が口を出すことは制度的に問題があるとして傍観を決め込む。
チューリップテレビが議員報酬の値上げの是非を取材する過程で、政務活動費の使い道を調べているうちに不正受給が明るみに出た、という経緯。
不正受給の手法は実態のない政務活動報告会やカラ出張、ニセの領収書の作成、領収書の数字を書き足すなどさまざまで、不正の実態が次々に明るみに出ることで、ドミノ辞職に発展。
議員たちの謝罪会見や態度などは滑稽としか言いようがないばかりでなく、不正の発覚者が多数になると、開き直りとも思える態度に出る者も居る始末。
更に不正受給の問題とは別に、実態のない政務活動報告会の会場とされた公民館の使用状況を情報公開請求したことが市職員の間で筒抜けとなっていた問題も発覚。
その経緯も教育委員会の課長から市議会事務局、そして当該議員のもとに情報が流れていたことが明らかになります。
これは公務員の守秘義務違反であるばかりでなく、不正を暴く過程がその対象に市職員を通して内通されてしまうことの恐ろしさは、議員のケチな詐取行為以上に重大な問題と捉える必要があるでしょう。
これが公務員の忖度、あるいは自民党議員=地方の有力者に対する田舎の恭順姿勢なのだとすると、この問題は更に根深いと考えなければならないと思います。
腐りきった地方議会の現状に、議員たちの無様な様子を嗤うことを通り越し、不愉快極まりない思いを禁じ得ないのですが、この問題を考えるうえで、これが富山という地方都市での田舎の馴れ合いや順法精神の欠如といった地方特有の問題なのか、どこでも同じありがちな組織の腐敗、人の堕落の問題として一般化できるのか、といったことは映画の中ではまったく解決されない部分として残ります。
地方議会の役割とはなんぞや?とか、不正の温床となっているものは何か?という問題の根幹に相当する部分は映画を観終わって、各自が帰りの道すがら反芻していかなければならない問題だと思います。
映画はもう笑うしかない、あきれ果てた事件の顛末を冷笑気味に描くことで、その役目を一通り果たしてはいるのですが、映画の終盤にきて今回の報道に関わった記者たちのその後の様子にも触れています。
それはごくさりげない描写ではあるのですが、それをどう受け止めるべきなのか、また、更にこのあと、五百旗頭・砂沢両監督がどのようにジャーナリストとしての義務を果たしていくのか、これをしっかり見届けることが大切なのかな、と思うのでした。
『はりぼて』
2020/9/18(金)~10/8(木)迄
2020/9/18(金)~9/24(木)
①10:00~11:45
2020/9/25(金)~10/1(木)
①10:00~11:45
続映決定!
2020/10/2(金)~10/8(木)
時間未定
10/2~の時間は
公式HPにてお確かめください
Posted by サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー at
15:16