映画上映情報 なべ

朝晩冷え込むようになり、どっしりとした映画を欲してくる季節になりました（私だけでしょうか?）今回ご紹介する作品は「ザ・韓国サスペンス！」といっても過言ではありません『ブリング・ミー・ホーム　尋ね人』です。シネギャラリーではここのところ女性の心の機微を繊細に、でも力強く描いた韓国映画が上映されていますが、本作は主人公に感情移入するのは少し難しいけれど、応援するしかない!!と思わせるパワーが溢れています。



看護婦のジョンヨンは夫と息子と幸せに暮らしていたが、６年前に急に息子ユンスが失踪してしまい、失意の中で夫婦でユンスを探し続けている。行方不明の子供を探す団体に助けてもらいながら写真入のチラシを貼ったり、聞き込みをしたりの日々。善意の協力者もいれば、そうでない人もおり、なぜこんな目に遭わなければならないのか理不尽なことだらけだ。そんな時、郊外の漁村でユンスを見たという情報がもたらされ、ジョンヨンは藁をもつかむ思いで駆けつける。そこにはマンソン釣り場を営む怪しい一家と子供たちもいるようだが、何も語らず、地元警察までも協力的でない。ただ母の直感で「怪しい、絶対何かある」とジョンヨンは一人探り始める。



自分の子供が事故か、誘拐か家出か、どちらにしても一日でも早く、無事に帰ってきてほしい、それだけを祈るのが親の気持ちでしょう。家族で平和に暮らしていたときの思い出に涙し、時には少し目を離した自分を責めたり、想像しただけでも胸が締め付けられます。そんな弱ってる家族に心無い中傷やいたずら、目撃情報に金銭を要求する行為、ひどい、ひどすぎる。日本でもこういうことはありますよね、何十年も子供に会えないで嘘の情報に揺さぶられたり、懸命に探しているのに脅迫めいた中傷をされたり、当事者にはいかに辛い状況か考えさせられました。そしてこの作品の中の地元警察のホン警長に代表される「カネ」や利権で動くいや～な人たちが憎らしくてたまりません。だれかまともな人はいないのか、人間不信になりそうです。それでも負けない母、ジョンヨンは危ない目に遭いながら息子を探して行くが果たして再会できるのでしょうか…。

日本でも大ヒットしたドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』で国民的スターになったイ・ヨンエが主人公ジョンヨンを演じる。私は映画『親切なクムジャさん』でものすごいインパクトを覚えた女優さんですが、結婚、出産を経て１４年ぶりのスクリーン復帰作に本作を選びました。もちろん韓国映画初登場ナンバーワンヒットだそうですよ。話題の『梨泰院クラス』のユ・ジェミョンら実力派俳優を集結し、長編映画デビューのキム・スンウ監督が自ら脚本も務めた衝撃のサスペンス映画。韓国映画ファンはもちろん、洋画サスペンスファンの方にも是非オススメしたい作品です。
最後にひとつだけ、「家族のエピソード」に注目しながら観て下さい。（あ～、観終ったお客様とお話したい～!!）静岡シネギャラリーでお待ちしています。


『ブリング・ミー・ホーム　尋ね人』
2020/10/16（金）～10/29（木）迄
2020/10/16（金）～10/22（木）
①15：45～17：35
2020/10/23（金）～10/29（木）
①15：45～17：35