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静岡市葵区御幸町にある、文化施設のサールナートホールです。 三階には、静岡シネ・ギャラリーも併設しています。 いろいろな催し物、映画を上映しています。

映画上映情報 ラウペ

あなたの人生を変えるかもしれない、特別な作品『ノマドランド』

企業城下町だったネバダ州エンパイア。USジプサムは2011年1月31日エンパイアの石膏採掘場を閉鎖し、町は郵便番号(ZIPコード)も抹消され、住民は退去を余儀なくされる。夫がUSジプサムの社員だったファーンは夫の亡き後もエンパイアに残っていたが、町の閉鎖とともに現代のノマド(遊牧民=車上生活者)となった。

あなたの人生を変えるかもしれない、特別な作品『ノマドランド』

ファーンを演じるフランシス・マクドーマンドが出会うノマドはデヴィッド・ストラザーン(『ジェイソン・ボーン』シリーズのノア・ヴォーゼン)を除いてほぼ全員が本人役で出演しているようです。
本物のノマドの登場で特に前半は殆どドキュメンタリーのような実在感が漂い、本物だけが醸し出すリアリティと説得力が現代のノマドのありようをそのままに伝えてきます。
ファーンはエンパイア近くのアマゾンの配送センターで季節労働者として働くほかはアメリカ西部を流浪しながら短期の労働に就いています。
ファーンの出会うノマドはみな高齢で、2008年のリーマンショック以降の不況により車上生活を余儀なくされた人達が増えたとのことですが、その生活スタイルは文字通りミニマムで、ある意味では自由を謳歌しているようにも見えます。
経済危機をきっかけに拡大した格差社会の実態を描きながらも、過度に深刻にならずに、ノマドの人々の生き方もまた多様な生活スタイルの一形態として描いているところが本作の特徴的なところでもあります。

あなたの人生を変えるかもしれない、特別な作品『ノマドランド』

ファーンは路上で知り合ったリンダの勧めでボブ・ウェルズの主催するラバー・トランプ・ランデブー(Rubber Tramp Rendezvous =RTR)の集会に顔を出します。
ラバーはタイヤのゴム、トランプは流れ者の意味で、RTRはノマドたちが直面するさまざまな問題を実際的な面から解決しサポートしていく互助組織であり、こうしたボランティアの活動が民間レベルで用意されているところがいかにもアメリカらしいところ。
RTRの集会が終ったあとに残ったスワンキーやデビッドなどのノマドたちとの交流を重ねることで、ファーンも次第にノマドとしての暮しに順応していきます。
望んで自らノマドとなったわけではない人々がその暮らしに順応し、受け入れていく様子は決してドラマティックな展開で描かれているわけではないのですが、日本とはまったく異なる雄大な景色の中で出会いとしばしの別れを繰り返し、屋根の下よりもクルマの中での生活に安らぎを得ていく人々を見ると、持ち家に住み、多くの物に囲まれた生活だけが幸せなのか?という根源的な問題に気付かされ、人の幸せとはモノや住処の有無とは違うところにあるのだというメッセージを受け取ることができるのでした。

ある意味では薄味な、決して大上段に構えてテーマ性を声高に語るようなタイプの映画ではないのですが、その沁みるような静謐な空気が、心の奥底でどこまでも余韻の残る映画だったと思います。




『ノマドランド』
2021/4/9(金)~4/15(木)
①10:45~12:40
②15:05~17:00
③19:25~21:20

2021/4/16(金)~4/22(木)
①12:50~14:45
②17:05~19:00

2021/4/23(金)~5/6(木)
時間未定
決まり次第公式HP内に掲載いたします

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 【重要】2021/8/14(日)『映画:フィッシュマンズ』18:30の回、上映時間変更のお知らせ (2021-08-07 15:24)

Posted by サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー at 14:04

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(劇場直通)

054-250-0283

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